2010/07/13 up!
【本田菊】
「……『弟』扱いはあの人だけで充分です」
俺の気持ちを読んだみてぇに、菊が今度は意図的に拗ねた声で抗議の声をあげた。
弟が嫌なら、どう扱って欲しいんだろうな?
いじめたくもなるが、ここは素直にぐしゃぐしゃと髪を撫でてやる。腕の中の菊があったけぇ。
【ギルベルト】
「……まぁ、俺は『弟』として甘やかそうとは思ってねぇから」
耳元で小さく言ったら、かなり長い間が空いた。宴会場はすぐ後ろだ。
誰も障子開けんなよ。開けんなよ……。
【本田菊】
「……それでは、ありがたく甘えさせて頂きます」
長い沈黙のあと、やっと囁き返す声が聞こえる。素直な返事に顔を覗き込もうとしたら、
菊の腕が俺の背中に回った。
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